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「無意識に色を選ぶことで私の奥底にあるものを表現する」

映画『めくらやなぎと眠る女』
© 2022 Cinéma Defacto – Miyu Productions – Doghouse Films – 9402-9238 Québec inc. (micro_scope – Productions l’unité centrale) – An Original Pictures – Studio Ma – Arte France Cinéma – Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma

―――本作には印象的なセリフが多く登場します。メインキャラクターのキョウコのセリフに「何を願おうと、どこまで行こうと人は自分にしかなれない」というものがあります。同じく、かえるくんも片桐に「僕の最大の敵は僕自身の中にいる僕です」と伝えています。これらのセリフは、監督から観客に向けての強いメッセージではないかと感じたのですが、いかがでしょうか?

「この作品は、村上文学を基にした私のオリジナル作品ではあるのですが、それでも大元は村上春樹さんの作品ですから、原作のセリフがそのままか、ほぼ同じ形で残っているものが主です。ですから、その質問は私だけでなく村上さんもお答えすべきだと思います。

私自身は映画作家として自分の作品を自己分析すべきだとは思っていません。あくまで世界観を提案している立場のつもりですが、あえてお答えすると、確かに『自分が一体何者なのか、果たして自分が思っている自分が本当に存在するのか?』という疑問を投げかけていると思います」

―――劇中、猫のシルエットや引っ越しトラックなど、青い色が効果的に使われていると感じました。この色には何か特別な意味を込められているのでしょうか?

「正直なところ、取り立てて青を選んだつもりはないです。私自身は絵描きでもあるので、色選びについて答えるのはものすごく難しくて…。先ほどもお話しましたが、直感が私の創作の根底にあります。無意識に色を選ぶことで私の奥底にあるものを表現することが、私にとって一番大事なんです。

ただ、私の中でも色を選ぶときのルールはいくつかあります。特に重要視しているのは、色の数をなるべく限定することです。色の数を減らすことで、そのイメージに大きな力を与えられると思っています。

今回の青い色が何を語っているのかは、私にはわかりませんが、きっと、私よりも作品をご覧になった方の方がお分かりになるかと思います」

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