スリラーではなくファンタジーに寄せる方向で原作をアレンジ
衝撃の事実を知ったミナは、急いでキアラの自宅を訪ねる。実際のマデリンは教授の妻であり、数年前に死亡していた。二人がマデリンとして接してきた人物は、彼女を模倣した別の生き物だったのだ。鳥かごの地下に部屋を発見して以降、ここまでの展開は原作に準ずるものだが、イシャナは最終盤の展開をスリラーというよりむしろファンタジーに寄せる方向で大きく書き換えた。
キアラ宅に到着したミナが危惧した通り、すでにそこには彼女に化けたマデリンがいた。さまざまな登場人物の姿に化けていくマデリンは、最終的にミナの姿となり、鳥かごでのミナを想起させる構図で、窓ガラス越しにミナと向き合う。
嫉妬や憎悪に支配されている人間のせいで、妖精たちは地下で生きることを余儀なくされた。もはや人間には救う価値はないとするマデリンは、ミナを始末し彼女に成り代わると宣言し、彼女を襲う。対してミナは、マデリンに対し、最後の説得を試みる。
実は教授の研究室には、妖精の資料に加えて、妖精と人間の混血であるハーフリングについての論文もあった。じっさい、それこそが彼の真の研究対象であった。ミナは、鳥かごで一度は自分たちを助けてくれたマデリンには「人間であるのがどういうことかわかっている」はずでは?と問いかける。そう、マデリンもまたハーフリングであったのだ。
虚をつかれたマデリンは、ミナから手を離すと自らの本名がアインリクタンであること、周囲のウォッチャーズ=妖精たちからは醜い者、デイウォーカーと呼ばれ、異端視されてきたことを明かす。