続編への意欲
ラストシーンでは、自分を許すことができたミナが、オウムとともにようやく双子の姉と再会する。一人二役でファニングが向き合う構図は鳥かごのマジックミラーを思わせるが、今度は二人の間には鏡はない。
姉には母が死んだ事故の際についた顔の傷が、ミナにはマデリンの爪でつけられた手首の傷が見える。異なる傷を受け入れて生きる二人はもはや分身などではなく、それぞれ別の人生を生きる存在であることがさりげなく強調される。
窓の外からは、少女の姿となったマデリンがミナたちの部屋を眺めている。この構図もまた鳥かごと重なるが、ここでのミナは、ウォッチャーズに見られることを恐れているというよりは、マデリンが見守ってくれていると感じることで、むしろ勇気づけられているようにも見える。続編への意欲を微かに感じさせつつ、映画は終わる。
(文・冨塚亮平)