「イム・シワンは素晴らしい演技で応えてくれた」実話ベースの映画『ボストン1947』カン・ ジェギュ監督インタビュー
『シュリ』(1999)、『ブラザーフッド』(2004)のカン・ジェギュ監督最新作『ボストン1947』が8月30日(金)より公開される。ハ・ジョンウ、イム・シワン、ペ・ソンウという韓国を代表する俳優の揃い踏みとなった本作にかける思いを、カン・ジェギュ監督にたっぷりと語っていただいた。(取材・文:山田剛志)
「イム・シワンは素晴らしい演技で応えてくれた」初めてのタッグで感じた手応え
―――キャスト陣が素晴らしかったのですが、とりわけソ・ユンボク役のイム・シワンさんに魅了されました。監督がイム・シワンという俳優に抱いていた印象と、初めて現場を共にされてどのような俳優だと思われたのか、教えてください。
「シワンさんは以前『ミセン-未生』(2014)というドラマに出ています。また、映画『名もなき野良犬の輪舞(ロンド)』(2017)でも存在感を発揮しています。それぞれの作品を観た時に、最も輝いていると思ったのがシワンさんでした。『凄く良い若者が出てきた』と思ったのです。そして機会があればぜひ一緒に映画を撮ってみたいなと。
今回のシナリオを受け取って読んだ時に、ユンボクという人物の身体的な条件がシワンさんとすごくマッチするなと思い、ピッタリの配役だと思いました。結果的に、シワンさんに出ていただけて本当に良かったと思っています。
私は監督ですので、モニターを通して彼の演技を見るわけですが、本当に鳥肌が立つことが何度もありました。私が望んでいた演技を、彼は適切に演じて見せてくれました。本当に大満足です」
―――序盤にコースを間違えたことが仇となり、試合で芳しい結果を残せなかったユンボクが、罰としてグランドを何周も走らされるシーンがあります。ユンボクの体が鉛のように重くなっていく過程がとてもリアルでした。このシーンはどのように演出されましたか?
「おっしゃったシーンは、ユンボクとその師匠であるソン・ギジョン先生との対立がピークを迎える場面です。最初は小さな対立だったのが次第に大きくなっていき、このシーンでついにユンボクが『もう自分は走りません。マラソン辞めます』と宣言する。2人の関係性においてとても重要なシーンです。
どうすれば2人の感情をうまく表現できるのか考えました。昼間にハーフマラソンをやった後に、罰としてグラウンドを100周走る。本当に極限状態で、体は苦痛で悲鳴を上げる。そして力もどんどん抜けていく。ユンボクを演じたシワンさんにはそれを上手く表現しなくてはいけないと伝えました。そしてシワンさんは、素晴らしい演技で応えてくれました」