『ゲゲゲの鬼太郎』(水木しげる作)
映画『ビートルジュース』で描かれるのは霊界である。ティム・バートンが描く霊界は死んだときの姿のままのグロテスクだが、ユーモラスな死者が闊歩する。
とはいえ、霊界は秩序とルールに則っており、意外にも現世以上に平和だと感じるのだ。なかでも孤独である少女リディアが現実よりも霊界に魅力を感じ、霊となったメートランド夫妻に家族よりも心を通わせていたことに、危うさと羨ましさを感じてしまう。
そんな作品が日本にもある。水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』は、霊界ではなく妖怪の世界が舞台だが、この作品には、人間世界よりも平和で自由な鬼太郎たち妖怪の暮らしが描かれている。そして、人間以上に厭世的な感情を抱く彼らのコミュニティには、不思議な憧れと魅力が感じられるのだ。
こうした、現世より優れた異世界への憧れはティム・バートンと水木しげる両人の共通点であるように感じるのだ。
(文・すずきたけし)
【作品情報】
監督:ティム・バートン
脚本:アルフレッド・ガフ、マイルズ・ミラー
出演:マイケル・キートン、ウィノナ・ライダー、キャサリン・オハラ、ジャスティン・セロー、モニカ・ベルッチ、ジェナ・オルテガ、ウィレム・デフォー
配給:ワーナー・ブラザース
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