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不老不死の空虚感を埋める「ヒマつぶし」

アビゲイル
©2024 Universal Studios

 加えて、不老不死なのであらゆる歴史の証人になれる。生きているだけである程度のトレンドに触れられるため、必然的に知識は溜まっていくはずだ。彼らの教養の高さや芸術への造詣の深さは、永遠の生の証と言えるかもしれない。そして、なんといっても、美やテクノロジー、科学への興味は、不老不死からくる空虚感を埋めてくれる。

 では『アビゲイル』はどうだろう。バンパイア誘拐事件というプロットについついとらわれがちだが、バンパイアとしてのアビゲイルにフォーカスしてみるとドラキュラ伯爵の系譜を踏んだ歴としたバンパイアだと考えられるはずだ。

 だが、これはあくまで筆者の考えだ。読者諸賢は、ぜひとも劇場で確かめてみてほしい。

【著者プロフィール】

中川真知子。映画xテクノロジーライター。アメリカにて映画学を学んだのち、ハリウッドのキッズ向けパペットアニメーション制作スタジオにてインターンシップを経験。帰国後は字幕制作会社で字幕編集や、アニメーションスタジオで3D制作進行に従事し、オーストラリアのVFXスタジオ「Animal Logic」にてプロダクションアシスタントとして働く。2007年よりライターとして活動開始。「日経クロステック」にて連載「映画×TECH〜映画とテックの交差点〜」、「Japan In-depth」にて連載「中川真知子のシネマ進行」を持つ。「ギズモードジャパン」「リアルサウンド」などに映画関連記事を寄稿。

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