広大なディープ・シー・オペラ
映画の序盤は、ブラックマンタが古代遺跡を発掘する時間が長く、ちょっとモタつき気味の展開に。アトランティス王国が襲撃され、事態を探るためにアーサーが砂漠に幽閉されていた弟のオームを救い出してワイルドに暴走し始めてから、ようやく『アクアマン』らしいノリになってくる。
アーサーとオームは兄弟バディを組み、海底の様々なエリアを訪れていく。スペース・オペラを海中に置き換えたディープ・シー・オペラともいうべき展開で、砂漠で爆走、ジャングルで巨大生物の襲撃、ワルの集まる盛り場で大暴れなど、めくるめくステージチェンジ。
何かを話しているときに爆発が起きて、みんなでドカーンと吹っ飛んで場面転換という前作からのパターンも踏襲、テーマパークのアトラクションのようなライド感を醸し出す。
とはいえ、ストーリーそのものに関してはこれまでのアメコミ映画でさんざんやってきたテーマなので、どことなく既視感が漂うのも事実。
王位継承でモメたり、部族同士で対立するような展開は、マーベルなら『マイティ・ソー』(2011)や『ブラックパンサー』(2018)、DCで言えば『ワンダーウーマン』(2017)にも、その要素があった。過去に封印されたヤバい国や闇の国王が復活を試みるというのも、さんざん見てきたパターンだ。