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制作陣による秀逸なキャスティング

©いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会
©いましろたかし・講談社/化け猫あんずちゃん製作委員会

 本作の主人公・あんずちゃんのキャラクター像と声を担当した、森山未來について触れていきたい。

 第8、9巻の特装版に付属するOVAアニメ『聖☆おにいさん』のイエス役、映画『犬王』(2022)の友魚役で、声優としての評価も高まった森山未來だが、本作もその得意な存在感は健在である。

 そもそも、原作を知る人であれば、「何で、あんずちゃんが、森山未來なの?」と思っただろうし、森山未來が声優だと知らずに観た人は、むしろ、エンディングクレジットを確認した際、驚いたであろう。

 何が「特異な存在感」かと言うと、森山未來演じる「あんずちゃん」の声、話し口調がずっと頭に残ってしまうのだ。

 あんずちゃんをウザがる、かりんに対し、「スイカ食べる?」「どっこ行くの~♪」などと話しかける、37歳という設定のあんずちゃん。ビジュアルは非常にかわいらしいが、中身はただのおっさんである。

 この役に森山未來を起用した制作スタッフの采配が素晴らしい。森山のぶっきらぼうながらもどこか心地良いしゃべり口調に触れて、筆者は、子どもの頃、可愛がってもらった近所の気の良いにーちゃんや、おじさんのことを思い出し、懐かしい気持ちになった。

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