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ホームシアターだからこそ分かる
鈴木亮平の“狂気じみた原作愛”

『シティーハンター』
©北条司コアミックス 1985

Netflix映画『シティーハンター』の鑑賞にプロジェクターを勧めたいのは、映画に集中できる環境を作り、その世界観に没頭できるからだけではない。『シティーハンター』の熱狂的ファンだからこそ気づく、鈴木亮平氏の原作への狂気じみた愛を堪能して欲しいからだ。

『シティーハンター』は、北条司氏によるハードボイルドものとして始まった連載漫画で、アニメ化、アニメ映画化、香港とフランスで実写映画化、宝塚歌劇団雪組により舞台化されたメディアミックス作品である。

これまで日本で実写化されてこなかったのは、主役の冴羽獠をはじめとする世界観の描き方の難易度が高いからだと考えられていた。ルックスや身体能力は実在の人間とは程遠いほどに超人的だが、新宿の街に存在すると錯覚させる曖昧さは、多くの人々に夢をみさせたと同時に、憧れや夢を壊されたくないという不安感を抱かせた。主演の鈴木亮平氏は兼ねてから『CH』ファンであると公言しており、折に触れて語られてきた冴羽獠への思いにはニワカ感はない。

原作はハードボイルドで始まったものの、読者人気は振るわずギャグ要素を増やしてコメディタッチにシフトしなければならなかった。その後、爆発的ヒットを受けてアニメ化。神谷明氏の声が原作イメージにぴったりだったこともあり、人気は天井知らずとなった。

この経緯を含めて『CH』の世界を理解していた鈴木氏は、漫画とアニメを軸とした役作りをしている。シャープな顎のライン、銃を構えたときの腕の筋肉と血管の浮き上がり方、色気のある視線を演出する癖のある前髪。キレのあるガンアクションも見どころではあるが、筆者は大画面でこういった細部のこだわりをじっくりと見て欲しい。

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