かの『犬神家の一族』のように…。
莫大な遺産をめぐって争いが始まる?
本作は、美術鑑賞が趣味の整が、念願だった展覧会のため、広島まで足を伸ばし、満足顔で美術館を後にするシーンからは始まる。その足で平和資料館、原爆ドームを訪れ、手を合わせる整に、突然、声を掛ける女性が現れる。
声の主は女子高生の狩集汐路(原菜乃華)。ある問題を抱えており、ドラマ版で整と奇妙な友人関係を築いたガロ(犬堂我路=永山瑛太)の紹介で彼に相談しに来たというのだ。
その問題とは、汐路の一族の莫大な遺産相続問題。狩集家は広島に広大な不動産を有す名家。しかしながら、相続の度に一族に中で死者が出るという曰くつきの家だった。そして、汐路の父・弥(滝藤賢一)も、きょうだい全員を車に乗せたまま崖から転落死するという不可解な死亡事故により失っていた。
この事故によって、相続の候補者は孫にあたる汐路ら4人となっていた。汐路の他には狩集理紀之助(町田啓太)、波々壁新音(萩原利久)、赤峰ゆら(柴咲コウ)の面々。代々、狩集家とのつながりのある顧問弁護士の車坂家と顧問税理士の真壁が同席し、4人にそれぞれ別の蔵の鍵を渡され、加えて、残された遺言書には、それぞれの蔵に置いてあるものを「あるべきものをあるべき所へ過不足なくせよ」と書かれていた。
まるで兄弟同士が反目するように導くような遺言だ。その思惑通り、対立を深め、腹の探り合いを始める4人。