出世を果たした子役たちの活躍とその後ー配役の魅力
本作最大の出世頭は、ガーティ役のドリュー・バリモアだろう。
俳優のジョン・バリモアと女優のジャイド・バリモアを両親に持つ彼女は、本作の出演をきっかけに天才子役として一世を風靡。一時は低迷し薬物やアルコールに走ったこともあったが、20代半ばから再び返り咲き、2007年にピープル誌が行った「モスト・ビューティフル・ピープル2007」では堂々の1位に輝いている。
ちなみにオーディションでは、バリモアがパンクロックバンドを率いているというエピソードが選ばれる決め手となったという。現場では、E.T.をホンモノの動物と勘違いしたことで、自然な演技ができたようだ。
また、主人公エリオットを演じたのは、ジャック・フィスク監督の映画『Raggedy Man』(1981年)でハリー役を演じていたヘンリー・トーマス。バリモア同様に彼もこの役で大ブレイクし、一時引きこもったものの、その後は地元テキサスを拠点に堅実に活躍。2019年には、YouTube向けのCMで大人になったエリオットを演じている。
エリオットの兄マイケルを演じるのは、ロバート・マクノートン。オフブロードウェイに出演していた彼をキャスティングエージェントが見つけ、オーディションを受けさせたという。なお、彼は一度俳優を引退したものの、その後復帰し、『ある殺し屋 KILLER FRANK』(2015)などに出演している。
そして忘れてはならないのが、E.T.の「中の人」だろう。E.T.を演じているスーツアクターは3人で、小人症を患っているタマラ・デ・トローとパット・ビロン、そして先天的に足がない当時11歳のマシュー・ド・メリットが交代で演じている。
また、E.T.の特徴的な声は、サウンドデザイナーのベン・バートが街で見つけた主婦パット・ウェルシュが担当。ベビースモーカー特有のしゃがれ声で、E.T.というキャラクターに魂を吹き込んでいる。
なお、作中でE.T.を救おうとする医師たちは、医療用語を自然に話せるという条件から、USC医療センターの医師たちがキャスティングされている。また、作中では当初、エリオットたちの学校の校長先生としてハリソン・フォードが、そして彼の妻で本作の脚本を担当したメリッサ・マシスンがナース役で出演していたが、セリフがわざとらしいとの理由から全カットがお蔵入りになっている。