天才子役の栄光と挫折ー配役の魅力
本作の配役といえば、まずはリーガン役のリンダ・ブレアに触れなければならない。
オーディションで数千人の応募者の中から見事役を勝ち取った彼女。弱冠12歳ながら観客の度肝を抜くようなインパクト抜群の演技を披露しており、完全に他の役者を食ってしまっている。本作の彼女の演技は、おそらく映画史の子役の演技の中でも5本の指に入るものであることは間違いないだろう。
しかし、本作の演技があまりにも強烈だったためかその後は出演作に恵まれず、1977年には麻薬所持で逮捕されているほか、1985年には『ナイト・パトロール』でゴールデンラズベリー賞の最低主演女優賞を受賞している。映画『ホーム・アローン』シリーズ(1990~)のマコーレー・カルキンしかり『E.T.』(1982)のドリュー・バリモアしかり、子どもの頃の栄光を維持するのは極めて難しいのかもしれない。
また、本作では、ホラー映画の定石である「マイナーな役者をキャスティングする」という方針もしっかり採用されている。例えばカラス神父役は当初、ポール・ニューマンやジャック・ニコルソンといったそうそうたるスターたちが熱望。また、主役のクリス役もジェーン・フォンダやアンバン・クロフト、シャーリー・マクレーン、オードリー・ヘプバーンといった大物女優が候補にあがっていたという。
しかしフリードキンは、有名な俳優を起用したくないという思いからこれらの案を却下。カラス神父役に舞台出身の俳優であったジェイソン・ミラーを、クリス役に『ラスト・ショー』(1971)でアカデミー賞とゴールデングローブ賞にノミネートされていた注目株のエレン・バースティンを起用することになった。
また、カラス神父の相棒であるダイアー神父役には、本職の神父であるウィリアム・オマリーを起用。こういったリアリティに準拠した配役が、本作の恐怖の礎となっているのだ。