神秘的で秘儀めいた「ワルツ第二番」―音楽の魅力
キューブリックは、作中でしばしばクラシック音楽を用いることが多い。とりわけ、『2001年宇宙の旅』のオープニングを飾るリヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』は、映画史に残る名シーンとして語り継がれている。
キューブリックが本作でフィーチャーしているのは、ソ連の音楽家ドミートリイ・ショスタコーヴィチの『ワルツ第二番』だ。とりわけ儀式のシーンでは、地面から響くような男性コーラスが神秘的な雰囲気を醸し出しており、秘儀的な雰囲気に見事にマッチしている。
なお、本作のスコアを手がけたのは、ジョスリン・プーク。マイケル・ナイマンや坂本龍一など、数々のアーティストとのコラボレーションで知られるイギリスの作曲家兼バイオリニストだ。
後に『ベニスの商人』(2004)や『天才作家の妻 40年目の真実』(2017)など、後に数々の映画音楽を手がけることになるジョスリンだが、映画音楽を手がけたのは本作が初めてであった。にもかかわらず、映画全体のトーンづくりに貢献する見事な音楽を制作している。
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