数多の巨匠から愛されるアダム・ドライバー
『フォードVSフェラーリ』では仇役をあてがわれていたエンツォ・フェラーリだが、監督のマイケル・マンは自他ともに認めるフェラーリの愛好家で、本作は念願の企画である。
企画のスタートは2000年代前半にまで遡ることができ、マイケル・マンが監督すること自体も含めて、紆余曲折があった。クリスチャン・ベールやヒュー・ジャックマンが主役を演じるという案もあったそうだが、最終的にアダム・ドライバーが演じることになった。
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)のカイロ・レン役や『ハウス・オブ・グッチ』(2021)、『最後の決闘裁判』(2021)などの大作で知られるアダム・ドライバーだが、その一方でコーエン兄弟やスパイク・リー、テリー・ギリアム、ジム・ジャームッシュといった作家性の強い監督からも重宝される、現在の映画界においてなかなかに貴重な存在だ。
アダム・ドライバーは実年齢で言うと今年で41歳になるのだが『フェラーリ』の劇中のエンツォ・フェラーリは60代であるため、老けメイクでフェラーリ役に挑んでいる。
年齢的だけ見るとクリスチャン・ベールやヒュー・ジャックマンの方が適しているかと思われるが、見終わってみると少なくとも映画『フェラーリ』におけるエンツォ・フェラーリ役はアダム・ドライバーが適任だったと思われる。