登場人物から過剰な輝きを剥ぎ取る
マイケル・マンは1970年代前半からテレビ作品の監督としてキャリアをスタートさせた。日本でもテレビ放送された『特捜刑事マイアミ・バイス』(1984~1989)は代表作と言えるだろう。1980年代以降は映画でも成功を収めるようになる。
1992年の『ラスト・オブ・モヒカン』を成功させると、1995年に犯罪映画の大傑作でロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノが対峙する『ヒート』を発表する。本作は犯罪映画のクラシックとなった。
以降、監督作品としてはラッセル・クロウの『インサイダー』(1999)、トム・クルーズ主演の『コラテラル』(2004)、ジョニー・デップ主演の『パブリック・エネミーズ』(2009)などを発表。今年で82歳になり50年以上のキャリアを持っているマイケル・マン監督だが、どの時代の作品にも独特のリアリティと渇いたタッチは一貫していて、時に戯画化スレスレの徹底した“男のドラマ”を描き続けている。
映画『フェラーリ』は登場人物から、過剰な輝きやスター性をあえて剥ぎ取るような作りとなっている(これがもしスターの存在感で勝負する映画だった場合、ヒュー・ジャックマンなどは主役に打ってつけだったかもしれない)。