「アポロ計画」の知られざる”B面”
『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』のストーリーはこうだ。
1957年、ソ連が世界初の人工衛星スプートニクを打ち上げたことを受け、宇宙開発を加速させるアメリカ。しかし、1967年に発生したアポロ1号で発生した火災により3人の宇宙飛行士が尊い命を奪われてしまい、アポロ計画は失速する。
だが、なんとしてでも宇宙開発競争に勝ちたいアメリカは、技術者揃いで宣伝に疎いNASAのために専門のPRを雇い、極秘に有人月面着陸の映像製作を始めるーー。
つまり、本作は、アポロ11号のミッションと同時並行でライブ用映像製作も進めていた、という設定なのだ。
そして、このストーリーは実際にあったPR活動と織り交ぜて巧みに語られ、最後は、陰謀論から派生した「キューブリックに依頼したものの彼があまりにも完璧主義者だったために結局月面で撮影せざるを得なくなった」というジョークに倣って回収される。