まさに今しかないタイミングの奇跡的な作品
前作に引き続き、旧ゴーストバスターズたちの活躍も頼もしい。ビル・マーレイの飄々とした雰囲気と、なんだかんだいって美味しいところを持っていく存在感はさすがだ。
そして往年のファンにとってたまらないのが、ニューヨーク市長を演じたウィリアム・アザートンの登場。『ゴーストバスターズ』(1984)では環境保護局の支局長を嫌味たっぷりに演じ、『ダイ・ハード』シリーズ(1988~)でも嫌味なテレビレポーター役で活躍した嫌味俳優だが、今作でも相変わらずの嫌味な役を引受けており、健在ぶりがなんとも嬉しい。
わりと登場人物が多く、それぞれに抱えたドラマやエピソードがしっかり展開するのだが、そのすべてがラストバトルに集約していく展開が秀逸。クライマックスでは、アベンジャーズがアッセンブルしたくらいのカタルシスが訪れる。エンドロールで、あのテーマが流れたときの多幸感は、まさにあの頃の娯楽大作を観終わった時と似ていた。
このレベルの作品を、前作から2年で完成させたことは特筆するべきだが、逆にいえばすぐに作らなければ、ここまでの面白さにならなかったかもしれない。新世代の若手キャストたちは見た目も含めて急成長しているし、旧キャストは、こう言ってはなんだが、いつまで元気な姿を観れるかわからない。
そんな今しかないタイミングでこの脚本をまとめあげ、一気に撮りきったことは、まさに奇跡的だ。
観客としても、いまリアルタイムで観ておくべき作品であることは間違いない。
(文・ 灸怜太)
【作品情報】
『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』
原題:GHOSTBUSTERS: FROZEN EMPIRE
3月29日(金)全国の映画館にて公開
US公開: 3月22日
監督:ギル・キーナン(『モンスター・ハウス』『ポルターガイスト』)
製作:ジェイソン・ライトマン(『ゴーストバスターズ/アフターライフ』『マイレージ、マイライフ』『JUNO/ジュノ』)
脚本:ジェイソン・ライトマン&ギル・キーナン
出演:ギル・キーナン(『アントマン』)、キャリー・クーン(『ゴーンガール』)、フィン・ウルフハード(「ストレンジャー・シングス」シリーズ)、マッケナ・グレイス(『アナベル 死霊博物館』)、クメイル・ナンジアニ(『エターナルズ』)、セレステ・オコナー(『マダム・ウェブ』)、ローガン・キム(『ゴーストバスターズ/アフターライフ』)、ビル・マーレイ(『ゴースト
バスターズ』)、ダン・エイクロイド(『ゴーストバスターズ』)、アーニー・ハドソン(『ゴーストバスターズ』)、アニー・ポッツ(『ゴーストバスターズ』)