快楽殺人を表現する口笛ー音楽の魅力
本作の音楽を担当するのは、ネイサン・バー。ホラー映画やスリラー映画の音楽を数多く担当してきた映画音楽家だ。ネイサンは、本作で口笛をうまく取り込むことで、本作が快楽を扱った作品であることを巧妙に表現している。
特に秀逸なのはオープニングだろう。側溝に流れる血溜まりや壁面を伝う洗剤の泡、血に染まった椅子などとともに、なんとも軽やかな口笛の音色をオーバーラップさせる。
物語が始まると、ホステルのネオンが反射する水溜りとともに、ヘヴィメタルの音楽が流れ出す。ここまでのシークエンスで、本作のテーマが「快楽」と「殺人」と「暴力」であることを暗に示しているのだ。
この口笛が、本編でも流れるシーンがある。それは、パクストンの携帯に、オリーから「帰国する」という連絡が入るシーンだ。メールに添付された彼のアップの写真は、シーンが切り替わり、徐々にカメラが退いていくと、生首であったことが分かる。
そして、死体の前を「死刑執行人」が口笛を吹きながら横切っていく。ホラーの幕開けとしてはなんとも素晴らしい嫌悪感たっぷりのシーンだ。
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