なぜシリーズ最高傑作…? 間延びしたアクションに込められた意味とは? 映画『ジョン・ウィック4』徹底考察&評価
text by 灸怜太
復讐に取り憑かれた殺し屋の映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』が公開中だ。主演のキアヌ・リーブスが制作総指揮を務め、舞台は砂漠、パリ、ベルリン、そして大阪と世界中から狙われる。真田広之とドニー・イェンも参戦。上映時間169分に込められた深すぎる理由とは? 【あらすじ キャスト 評価 考察 解説】(文・灸怜太)
世界から狙われる男、自由を求め組織をぶっ壊す
いま思えば、第1作目でジョン・ウィックをナメてかかったロシアン・マフィアのバカ息子たちはどれだけ世間知らずだったのか…と、タメ息を尽きたくなるほど世界観も殺人スキルもスケールアップを続けている『ジョン・ウィック』シリーズ。
2作目以降、基本的なストーリーラインは同じで、闇社会の統括組織「首席連合」を裏切り、賞金首となったジョン・ウィックに世界中の殺し屋たちが襲いかかってくるというノンストップ・キリング・アクションとなっている。
第4弾となる本作のラスボスは、新たに首席連合の代表となったグラモン侯爵。いきなりニューヨークのコンチネンタル・ホテルを爆破して、その圧倒的な権力を誇示。さらに、ジョンのかつての友人である盲目の達人ケインを呼び寄せて刺客として放ち、追い詰めていく…。
今回もひたすら襲われ、たまに襲い返し、銃だけでなく、あらゆる道具を使ってキルカウントを重ねるジョン・ウィック。演じるキアヌ・リーブスも相変わらずの佇まいだが、年齢は58歳。
さすがに動きのキレは鈍くなってきているのだが、それでも巨体をよろめかせながら黙々と敵を倒していく姿が逆にリアルで、職人のような佇まいも含めて最高にカッコいい。
そこに立ちはだかるのが、香港映画が産んだ“最後の本格派”ドニー・イェン。こちらもなんと60歳だが、まだまだフィジカル最盛期を更新中。
今回は『ローグワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に続く、盲目の達人という役柄だが、この設定がドニー独特のヌメっとしたクセのある動きに説得力を持たせ、作品の世界観に溶け込ませることに成功している。