13歳の少年が遺体処理の極秘プロジェクトに関わる
遺体処理の極秘プロジェクトに深く関わることとなったのは、焼却炉を作る工場で働くワケありの人々と、アラブ系というだけで学校ではイジメに遭い、居場所のない13歳の少年・デイビットだ。
さらには、アイヒマンを監視する刑務官、ホロコーストの生存者で、裁判ではアイヒマンを尋問した警察官、エルサレムの片隅に生きる人々を通して、これまで描かれることのなかった視点で、ホロコーストの現実と、その後のユダヤ人の生き方を描き出している。
デイビットは、勤め先の工場長の部屋から懐中時計を盗み出すなど、ヤンチャな面があるものの、仕事には真摯に取り組み、工場長や同僚から信頼を得ていく。そして、アイヒマンの遺体を火葬するための焼却炉作りには先頭に立ち、関わっていく。
イスラエル人でありながら、ホロコーストの過去も伝聞でしか知らず、リビア系であるというだけでユダヤ人に不当な差別を受ける彼にとっては、自らのアイデンティティを証明する術だったのだ。
試作品を完成させ、ヤギを実験台に焼却を試みるが、こんがりと焦げただけで失敗に終わる。その後、火力を高めるためにあの手この手で改良を進め、焼却炉は完成を見る。その焼却炉に、絞首刑によって吊るされたアイヒマンの遺体が押し込まれ、灰にすることに成功する。