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綾野剛が熱唱する「紅」の歌詞に隠された意味とは…とある名作ドラマとの共通点とは? 映画『カラオケ行こ!』徹底考察&解説

text by 前田知礼

冴えない合唱部の男子中学生と歌がうまくなりたいヤクザの交流をコミカルに描いた和山やま原作の人気コミックを、綾野剛主演で映像化した映画『カラオケ行こ!』が絶賛公開中だ。今回は、でこぼこコンビの魅力と、平成の名作ドラマを比較しながら、本作を解説&評価する。(文・前田知礼)<あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー>

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【著者プロフィール】

前田 知礼(まえだ とものり)。1998年広島県生まれ。2021年に日本大学芸術学部放送学科を卒業。制作会社での助監督を経て書いたnote「『古畑任三郎vs霜降り明星』の脚本を全部書く」がきっかけで放送作家に。現在はダウ90000、マリマリマリーの構成スタッフとして活動。ドラマ「僕たちの校内放送」(フジテレビ)の脚本や、「推しといつまでも」(MBS)の構成を担当。趣味として、Instagramのストーリーズ機能で映画の感想をまとめている。

『カラオケ行こ!』と通ずる作品たち

©2024『カラオケ行こ!』製作委員会
©2024カラオケ行こ製作委員会

「ヤクザや不良が意外なジャンルにのめり込む物語」からしか摂取できない栄養素がある。例えば、留置所で芸人と出会った不良が漫才に目覚める映画『漫才ギャング』(2011)、不良生徒が吹奏楽に挑むTBS系「日曜劇場」枠ドラマ『仰げば尊し』(2016)や甲子園を目指すTBS系ドラマ『ROOKIES ルーキーズ』(2008)、抗争中の組への殴り込みをキャストスタッフほぼヤクザで撮影して映画を作ろうとする『地獄でなぜ悪い』(2013)がそうだ。

本作、『カラオケ行こ!』は、組主催のカラオケ大会でビリになりたくないヤクザが、合唱コンクールの地区予選で見つけた中学生をカラオケに誘うところから始まる青春映画だ。

歌が上手くなりたいヤクザ・成田狂児を演じるのは綾野剛、声変わり真っ只中の中学男子・岡聡実を演じるのはオーディションで選ばれた齋藤潤。狂児と聡実くん。「大人と子供」、或いは「ヤクザと中学生」だった二人の関係性は、「歌の先生と生徒」という師弟関係、そして「狂児さんと聡実くん」と呼び合う友人関係に変化していく。

ゴリゴリのヤクザが真剣にカラオケの練習に取り組む姿はどこか愛おしく、冴えない中学生が強面ヤクザに歌唱指導をしている様はどこかおかしい。

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