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脚本家・野木亜紀子が描く「ファンタジーヤクザ」

京志郎役の綾野剛Getty Images

ドキュメンタリー制作会社出身という経歴を持つ脚本家・野木亜紀子は、人間や世界をリアルに描写する力に長けた脚本家だ。

そのため、これまで脚本を務めた映画『図書館戦争』シリーズ(2013、15)や映画『アイアムアヒーロー』(2016)は、図書特殊部隊やZQN(ゾンビ)というフィクション強めの原作に関わらず、観客を冷めさせないリアリティを持っている。

野木さんは、今作に登場する暴力団・祭林組を「ファンタジーヤクザ」と表現している。暴対法の成立後、現実にはあのようなヤクザたちはほとんど存在しないし、ましてや中学生と絡むヤクザとなると多少なりともポップに描く必要がある。

そんなヤクザのファンタジー度の塩梅の調整に非常に苦労したとインタビューでも語っている。100%の想像ではあるが、作品のトーン合わせで『タイガー&ドラゴン』を参考にした可能性は0ではないだろう。

ヤクザが着物を着て高座に上がる世界も、ヤクザが歌の上手い中学生に弟子入りする世界も、ファンタジーの番地は近いところにいる気がする。

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