しんちゃんとナナの関係性に宿るオリジナル
さて、ここからは、本作のもう1つの軸と言える「キャラクター同士の親子関係」について語りたい。
まず、ネット上の端々で散見されている、映画『ドラえもん のび太の恐竜』(1980)のオマージュ、悪く言えばパクリだという意見について言及したい。
筆者はそれは違うと考える。「恐竜」というキーワードだけでそれを言ってしまうのは軽はずみであり、仮に参考にしていたとしても、そもそものしんちゃんとナナの関係性を、しっかりと刮目していただきたい。
では、何が決定的に違うのか?
『ドラえもん のび太の恐竜』において、のび太は、たまたま見つけた恐竜の卵を自力で孵化させ、ピー助と名付け、まさに親のように育て上げる。
対して、今作のしんちゃんは、愛犬であるシロが連れて来た、ナナと友達になったわけであり、父性というよりは、お兄さん的な感覚が生まれたのではないかと、筆者は推測する次第だ。同じ家族でも、父親のような感覚か、兄のような感覚かは当然、違いがあるのではと。