ホーム » 投稿 » 海外映画 » 劇場公開作品 » 冴え渡る映像美と音楽にテンション爆上がり…映画『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』考察&評価。忖度なしガチレビュー » Page 2

ポップでサイケデリックでスタイリッシュ
アミリプールが描く自由を求めるヒーロー像

© Institution of Production, LLC
© Institution of Production LLC

本作最大のポイントは、なんといっても主人公のモナ・リザを演じるジョンソだろう。近年話題作への出演が続くジョンソだが、本作では作中随一のアジア人として、クール・ビューティーな雰囲気で観客を魅了している。

特に、ボロボロの拘束着を着て、ハドソンをはじめとする並みいるアメリカ人役者たちを舐めまわすようにメンチを切る彼女の無言の演技は、敵地に単身で乗り込むヒーローのような潔さが感じられる。

ちなみに、イラン系アメリカ人としてアメリカで育ち、よそ者であることを自覚していたアミリプールは、自身の居場所を常に模索しており、ファンタジー映画のヒーローに希望を見出していたという。本作の主人公モナ・リザには、自由を求めるアミリプールの幼少期の経験が大きく影響しているのだ。

作品全体のポップでスタイリッシュな雰囲気も本作の特徴だ。特に序盤のネオンカラーが散りばめられたニューオーリンズの風景は、サイケデリックなムードに満ち溢れている。

ちなみに、本作の撮影には、『ヘレディタリー/継承』(2018年)や『ミッドサマー』(2019年)などのアリ・アスター監督作でお馴染みの名カメラマン・パヴェウ・ポゴジェルスキが参加している。

また、全編に鳴り響くダンスミュージックも本作の重要な要素だろう。担当するのは、ダニエル・ルッピ。『処刑教室』(2008年)などで知られる音楽プロデューサー、ダニエル・ルッピ。彼の選曲は鑑賞者のボルテージを上げてくれること請け合いだろう。

1 2 3 4
error: Content is protected !!