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現代を生きる女性の感覚をナチュラルに切り取る

©2024『ナミビアの砂漠』製作委員会
©2024『ナミビアの砂漠』製作委員会

 私は、日々女性が生きているだけでスカウトや、街を歩く男に「あの子いける?」と急にジャッジを下される経験を「急に牛肉のように知らない人間に等級をつけられる」と表現している。

 今まではただ生きていたのに、急に誰かによって「肉」として値札を貼られるのだ。おねえさんならいくらで行けるよ、脱毛してない女は無理。自分のためにやっているのか、誰かのためにやっているのか。それとも広告で無駄に焦らされているのか。永久脱毛なんてない脱毛サロンで「冷たくなります」としか言えないカナ。

 同僚が「整形してます?」と訊くのも今風だ。整形してる、が悪口ではなく「整形したくらい可愛い」といった褒め言葉になるくらい、容姿を磨くことは努力であり、ブスは努力不足なんて極論が罷り通る現代をナチュラルに切り取っているなと感じた。

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