メリー号との運命的な出会いはどのように演出されたのか
そんなウソップの原作と実写版の違いを見ていこう。
原作では、世界で最も危険と呼ばれる”偉大なる航路(グランドライン)に入る前には、しっかりとした準備が必要であるとナミが助言。船が入手を祈りつつシロップ村に到着する。ルフィたちが村に到着する姿を観察していたウソップは、「俺はこの村に君臨する大海賊団率いるウソップ!!!」、「八千万の部下がいる」と、一行に嘘を並べ、彼らと対抗することを試みるも、ウソということがバレる。村の飯屋で時間を共にし、大きな船を所有している屋敷の主人であるカヤの話をする。
実写版では、ルフィたちは、船が航海の途中で浸水してしまうという事件に見舞われる。そこで新しい船を手に入れるため、ルフィたちは造船で有名と言われているシロップ村へ向かう。そこで早速、大きく立派なメリー号を発見。圧倒されるルフィに、船の整備をしていたウソップが、その船の説明をルフィにする。その後船の持ち主は親友であり、紹介できると言い、ルフィたちは、カヤの屋敷へ向かう。
このシーン、実写版では、まずウソップ率いる、ウソップ海賊団のピーマン、にんじん、たまねぎという子どものキャラクターが登場しない。さらに、初めからメリー号を登場させている。全てのシーンをただ実写にするのではなく、大事な要素を上手くまとめ上げ、メリー号との運命的な出会いを演出しているのだ。それによって物語が冗長になることを避け、展開がよりわかりやすくなったと筆者は感じた。
また、エピソード8で、アーロン一味の幹部であるチュウと戦闘するシーンにも注目したい。原作では、チュウに酒のビンを投げつけ、「鉛星」で破壊。その後、「火炎星」で相手を燃やし、「ウソップハンマー」でチュウを倒す。
一方、実写版では、酒を飲むチュウに「火炎星」を打ち、一撃で倒すことに成功する。しかしながら原作も実写も、一度死んだフリをして逃げ切ろうとしたのは同様となっており、ウソップらしさが残る印象的なシーンとなっている。