『オペラ座の怪人』が描く普遍的な愛の主題
先述したとおり、『オペラ座の怪人』が描くのは、普遍的な愛の主題である。それはいつの時代においても人々の心を揺さぶるものである。
現代に生きる私たちも例外ではない。ロマンティックな恋と破滅的な愛との間で揺れるクリスティーヌ。ラウルに恋心を抱く一方、危険な魅力を漂わせるファントムに強く引き寄せられていく姿は共感を呼ぶ。本当の彼を知って、恐れを抱きつつも憐れみの心を持つようになる展開もまた深く頷けるところだ。
他方で、本作はファントムの心情を深く描いていく。大半の場面においてマスクを装着しているからか、観る者はファントムの内面をより一層強く想像するようになる。その果てに、彼の孤独な心情に共感できるというわけだ。
映画『オペラ座の怪人』は、かのように様々な創意工夫を凝らすことで、公開から何年経っても色褪せることなく観る者の心を引き込んでいく。
オペラとミュージカルとの融合、またロックの要素をも組み込んだ本作は、観客を深く心酔させて非日常へと誘う。実際のオペラやミュージカルに足を運ぶきっかけになり得るという点でも、貴重な作品だ。
(文・藤崎萌恵)