全世界を席巻したホラーモキュメンタリー―演出の魅力
本作は、2007年公開のモキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)ホラー作品。タイトルを直訳すると「超常現象」となる。
監督はゲームデザイナーのオーレン・ペリで、主演のケイティをケイティ―・フェザーストンが、ミカをミカ・スロートが演じている。
制作費はわずか1万5千ドル(約158万円)で、撮影期間は7日間―。そんな破格な低予算で作られた本作は、公開早々話題を呼び、最終的には予算の431倍となる1億9000万ドル(約200億円)の興行収入を達成。
自主制作映画にも関わらず、世界中を恐怖の渦に叩き落した作品として知られている。
そんな本作の注目ポイントは、なんといってもそのリアルさだろう。出演者はみな無名で、撮影機材もハンディカムのビデオカメラ。
そして撮影場所も、監督であるオーレンの家の中だけ。そんな「ローテク」な撮影が、逆に本作のリアリティを高めているのだ。
なお、スティーブン・スピルバーグは、本作を絶賛し、ハリウッドでのリメイク権を獲得。しかし、ハリウッドの一流の技術をもってしても本作の恐怖を超えられないと考え、諦めたという逸話もまことしやかにささやかれている。
ちなみに本作は、トッド・ウィリアムズ監督による続編『パラノーマル・アクティビティ2』(2010年)を皮切りに、最終的に『パラノーマル・アクティビティ7』(2021年)まで制作されており、2010年には日本版の続編も制作されている。
公開順で観ても問題ないが、このシリーズの特徴は時系列が錯綜しているという点。時系列順に並べると、以下の通りになる。
①『パラノーマル・アクティビティ3』(1988年が舞台となっている)
②『パラノーマル・アクティビティ2』(2006年8月〜10月の出来事が描かれる)
③『パラノーマル・アクティビティ』(2006年10月の出来事が描かれる)
④『パラノーマルアクティビティ4』(2011年11月の出来事が描かれる)
⑤『パラノーマルアクティビティ 呪いの印』(2012年6月〜7月の出来事が描かれる)
⑥『パラノーマルアクティビティ5』(2013年12月の出来事が描かれる)
上記に加え、2010年製作の日本を舞台にした『パラノーマル・アクティビティ第2章: Tokyo Night』は正式な続編であり、シーズン1の4年後(2010年)を舞台にしているが、話はほとんどつながっていない。また、『パラノーマル・アクティビティ7』は続編ではなくリブート版という位置づけであるため、また別物として観た方が良さそうだ。