恐怖を煽るファウンド・フッテージの手法―脚本の魅力
本作では、「ファウンド・フッテージ」と呼ばれる手法が用いられている。
「ファウンド・フッテージ」とは、撮影者が行方不明になり、長年埋もれていたという設定のフィクション作品のことで、『ブレアウィッチ・プロジェクト』(1999年)や『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008年)など、多くのモキュメンタリー作品で使われている手法だ。
本作では、この手法が徹底して用いられている。
例えば本作では、上映後にエンドロールが流れず、しばらく真っ黒な画面が続く。この意表をついた演出に、事情を知らない観客は「ホンモノ」を見てしまったと戦慄するとともに、正体不明の役者陣の存在に、得もいわれぬ不気味さを覚えること請け合いだろう。
とはいえ、こういった手法が公開から20年を経た今、未だに十分な効力を持っているかと言えば、首を傾げざるを得ない。
それは、この手法がすでに陳腐化してしまっている点に加え、YouTubeをはじめとする動画プラットフォームが発達した今、こういったモキュメンタリーホラーは、ネット上でいくらでも見つけられるからだ。
また、物語的にも、本作の最初の30分程度はじゃれ合うケイティとミカの姿を映しているだけで、恐怖の「フリ」であるにしてもあまりにも冗長だ。
そういった意味で、本作はYouTube前夜だからこそ、ヒットした作品と言えるかもしれない。