目に見えない超常現象の表現―映像の魅力
本作に登場する超常現象には、2つの特徴がある。
1つ目は、超常現象に実体がないこと。2つ目は、超常現象が、ケイティとミカの目を盗んで起こることだ。
まず1つ目について。本作に登場する悪魔は、Jホラーに登場する幽霊のように、はっきりとした形を持たず、部屋のドアや2人が寝ている布団といったオブジェクトを操作することによって悪事を働く。
つまり、観客は、画面のどこで超常現象が起こるのか、常に神経を張り巡らせなければならないのだ。
続いて2つ目について。本作では、超常現象のほとんどが、ケイティやミカの就寝中や、2人がいない部屋など、彼らが直接みないところで発生する。
そのため、2人は怪異が起きた後に録画した映像を見ることで何が起きていたかを追認することになるのだ。自分たちが見ていない場所で悪魔が暗躍し、徐々に自分たちの日常を侵食していく様子は、なんとも恐ろしい。
なお、本作の監督であるオーレン・ペリは、ゲームデザイナーとしても知られている。目には見えない悪魔が現実に作用するという本作の設定に、ゲーム性を見出すこともあながち間違いではないだろう。