無名の役者の破壊力―配役の魅力
本作は、自主制作映画なだけあり、出演する役者が全て無名の役者で占められている。とはいえ、無名だからといってこわさが半減するというわけでは決してない。
例えば、北野武監督の『ソナチネ』(1994年)では、寺島進や大杉漣といった当時は無名の役者を起用することで、フィクションではないリアル感を演出していた。
この法則は、本作にも見事に当てはまっている。
個々の役者について説明していこう。まず、ケイティ役のケイティ―・フェザーストンは、高校時代から演劇活動を行い、南メソジスト大学で演技を勉強している。
ケイティーは、映像での演技は初めてにも関わらず、本作では見事なスクリーム・クイーン(悲鳴の女王)ぶりを発揮している。
また、ミカ役のミカ・スロートは、本作の制作時、ミュージシャンで、ハリウッドのミュージシャンズ・インスティテュートに通い、演技の勉強をしており、たまたま見た本作の求人広告を目にし、本作のオーディションを受けたという。
なお、本作は設定上、2人のキャラクターや性格といった設定しか存在せず、セリフは全て監督が現場で支持し、俳優が即興で演じたという。
本作が世界的な作品になったのは、無名役者たちの知られざる演技力の賜物だったのかもしれない。