12年後、36歳。24年ぶりに対面
そしてさらに12年後。36歳のノラは、ニューヨーク在住のアーサーと結婚し7年が経っていた。ヘソンはノラがすでに結婚していることを知りながらも、彼女に会いにニューヨークを訪れる。正直、遅い、遅すぎる! 12年間何をしていたんだ、ヘソン! とは思うが、彼は彼でノラへの気持ちに蓋をして、恋人との関係を構築していた。
冒頭で書いたように、観る人によってどの登場人物に感情移入するか変わってくると思うのだが、私はヘソンの気持ちがよくわからなかった。なぜ、12年経った今なのか? なぜ、結婚していると知りながら会いに来たのか…? 結婚していてもいいから、ただ会いたかったのか? それなら12年前のあの日に来て欲しかった…などと思ってしまう。ヘソンの気持ちがわかる方に話を聞いてみたい。
とは言いつつ、ノラとヘソンのニューヨークでのデートシーンは本当に美しく、ロマンチックだ。ニューヨークの綺麗な街並みに思わずうっとりしてしまう。実際に会うのは24年ぶり(!)にも関わらず、ナチュラルに会話を続ける二人を見て「このままノラを連れ去ってしまえ!」という思いと、「いやでも、ノラにはアーサーという優しい夫が…」という思いが行ったり来たりして、観ているこちらも切なくなってしまう。
嘘偽りなく、夫のアーサーにヘソンとのことを話すノラ。それは彼女がアーサーに絶大な信頼を置いているからこそだと思うのだが、アーサーは、ノラとヘソンの間に自分が介入できない“特別な何か”を感じ取ってしまい、苦しむこととなる。ここで描かれるノラとヘソン、ノラとアーサーの関係は、決して単純な三角関係ではなく、それがまたとてもリアルだ。