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告白以上に伝わる”愛”の表現

パスト ライブス/再会
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午前4時。ニューヨークのバーで、ノラとヘソン、そしてアーサーは3人で過ごしている。このシーンはもう本当に、「3人はそれぞれ今、どんな気持ちで過ごしているのだろう?」 と、彼らの思いを想像して、三者三様の愛情と苦しみを味わうこととなる。この原稿を書いている今も、このバーのシーンを思い出すだけで胸がギュッと押しつぶされそうだ。

また、本編ラストの数分間は、さらに苦しくて切なくて、涙なしには見られなかった。ここでヘソンがノラに「縁(イニョン)」について話すのだが、それは告白以上に愛のこもった言葉だったなと感じた。

恋愛に限らず、「あの時こうしていたら」と“たられば”を考えてしまうことは、誰にだってあることだ。どうして人生は一度だけなのだろう、とも思う。一度しかないのに、私たちの前には選択肢が無限にあって、しかもどれを選べば正解なのかもわからない。

だけど、どんな選択をしたとしても、ノラのようにまっすぐ未来を見つめ続けられる女性でいたい。そして、今まで出会った人たちやこれから出会う人たちに「縁(イニョン)」を感じ、大切にしていきたい。

ソン監督が「夫への愛、幼い頃の初恋の人への愛、そして自己愛、これだけの愛を1人の人間が持ち続けることができる。それは神聖なことなんです」と語っていたように、さまざまな愛について深く考えさせられる映画だった。

(文・紺野 真利子)

【作品情報】
タイトル:『パスト ライブス/再会』
監督/脚本:セリーヌ・ソン
出演:グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ
脚本・監督・プロデュース:セリーヌ・ソン
製作総指揮:ダビド・イノホサ、クリスティーン・ヴェイコン、パメラ・コフラー
共同製作総指揮:ヨンウ・チョイ
共同プロデューサー:カン・サンウ、イェール・チェイスン
撮影監督:シャビアー・カークナー
プロダクション・デザイン:グレイス・ユン
編集:キース・フラース
衣装デザイン:カティナ・ダナバシス
音楽:クリストファー・ベア、ダニエル・ロッセン
キャスティング:エレン・チェノウェス、スザンヌ・シール
2023年/アメリカ・韓国/カラー/ビスタ/5.1ch/英語、韓国語/字幕翻訳:松浦美奈/原題:Past Lives/106
分/G
提供:ハピネットファントム・スタジオ、KDDI 配給:ハピネットファントム・スタジオ
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