オマージュを捧げている映画作品とはー。
本作は、ストーリー自体にも大きな謎が隠されていて、そのすべてが明かされないまま進行するので、モヤモヤと気持ちを引きずってしまう。
それをかき消してくれるのが、疾走感のあるアクションシーンや、ハっとさせられるようなキメ絵の強さだ。監督を務めたウェス・ボールはアニメ制作やグラフィックデザイナーとして活動を開始しただけに、そのセンスを生かした構図が上手い。
しかし、元ネタがバレバレというか、いろんな映画にオマージュを捧げすぎな部分も目立つ。ノアがたどり着いたプロキシマス王国の描写は、もはや『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)なのだが、その悪びれない引用っぷりは好き嫌いが分かれるところかもしれない。
そして、このあたりから人間たちのキャラクターが明らかになってきて、ようやく物語に絡んでくる。
しかし、人間は猿以上に狡猾で何を考えてるのかわからないという設定だけに、本当にその言動が予測不能。ある人物がいきなりスリーパーホールドを繰り出した時は、劇中のエイプたちと同様に唖然としてしまった。
クライマックスでは人類の壮大な復興計画が見えてくるのだが、そのスケール感に比べて、ここまで引っ張ってきたエイプたちの争いが小競り合いに見えてしまうのが勿体ない。この重層的な展開が本作の醍醐味ともいえるのだが、どっちつかずになって焦点がボヤけてしまったという印象にもつながる。