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悲しすぎる結末とは…? “恨”の感情を描く韓国映画『復讐の記憶』徹底考察。日韓の歴史に基づいて解説。忖度なしガチレビュー

text by 寺島武志

映画やドラマで大活躍の名優イ・ソンミンと人気俳優ナム・ジュヒョクが初共演し、『華麗なるリベンジ』のイ・イルヒョン監督が手掛けた異色の復讐劇『復讐の記憶』が公開中だ。今回は、韓国と日本の複雑な歴史に根ざした本作を深く読み解くレビューをお届けする。(文・寺島武志)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

アルツハイマー病を患った男が復讐を決意する

(C)2022 ACEMAKER MOVIEWORKS & MOONLIGHT FILM ALL RIGHTS RESERVED.
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自らの死期を悟った時、“死ぬ前に殺してやりたい奴がいるか?”と問われ、「全くいない」と答えられる人は、よほどの聖人君子か、人間関係に恵まれた人物であろう。

何十年も生きていれば、自分ではどうしようもなかった理不尽な出来事や、他人からの有形無形の害を加えられ傷付き、(実行するにせよしないにせよ)“いつか仕返ししてやりたい”と思い続けつつ、自らの感情と折り合いをつけながら、やり過ごしている人も多いのではないだろうか。

本作の主人公・ピルジュ(イ・ソンミン)は、齢80を超え、自身がアルツハイマー病に侵されていることを自覚し始めている。対照的に、体力的には問題がないため、レストランでのアルバイトを辞める際には、同僚から惜しまれるほど、人望が評価されていた。

徐々に記憶力が薄れていくピルジュは、長年、心に秘めていた計画を実行に移す。それは、第2次大戦中、日本軍に協力して富と地位を得た韓国人や、彼らから甘い蜜を吸い続け、いまだに彼らと親交のある日本人への復讐だ。

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