生き続ける「恨」の感情
日韓併合時代、無理やり日本語教育や歴史教育、また「天皇陛下万歳!」を強いられ、強制移住などにより家族の分断を生み、その事実は現在に至るまで、在日韓国・朝鮮人という形で残されている。
さらに、韓国人を含む朝鮮民族には「恨の文化」というものがある。その感情は、朝鮮民族が明や清の時代の中国や、日本からの侵略を受け続けてきた抑圧と屈辱の歴史と無関係ではないだろう。それは、戦後78年を迎え、一部で“親日派”といわれるユン・ソンニョルが大統領に就任した現在でも、脈々と受け継がれている。
復讐劇を成し遂げたピルジュを待っていたのは、あまりにも侘しい結末だ。アルツハイマーが進行した彼は、バディを組み、共に命の境を生き延びたインギュはおろか、自らの置かれた立場さえ認識できていないようにも感じる。
日本人にとっては、親日派の韓国人や日本人を死に追い込むストーリーには、抵抗感を覚える人も出てくるだろう。しかし、どれだけ日韓関係が改善されようとも、韓国人の心の奥深くには、「恨」の感情が生き続けている。本作はそのことを改めて実感させてくれる。
(文・寺島武志)
【作品情報】
2022年/韓国128分/カラー/スコープサイズ/5.1ch/原題: 리멤버
監督:イ・イルヒョン『華麗なるリベンジ』
キャスト:イ・ソンミン、ナム・ジュヒョク、チョン・マンシク、ユン・ジェム
ン、ソン・ヨンチャン
配給:ハーク
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