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ラストシーンの意味は? 映画『生きる』徹底考察。ゴンドラの唄に込められた意図とは? 黒澤明による不朽の名作を深掘り解説

text by 編集部
監督の黒澤明【Getty Images】

黒澤明【Getty Images】

生きる

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原題:
生きる
製作年:
1952年(日本)
監督:
黒澤明
脚本:
黒澤明, 小國英雄, 橋本忍
撮影:
中井朝一
音楽:
早坂文雄
配給:
東宝
上映時間:
2時間23分
出演:
志村喬, 小田切みき, 藤原釜足, 日守新一, 金子信雄

ベルリン国際映画祭
(ベルリン市政府特別賞)
キネマ旬報ベストテン(1位)
毎日映画コンクール
(日本映画大賞/脚本賞/録音賞)
日本映画技術賞
(撮影/録音)
芸術祭
(芸術祭賞 映画部門)

演出:
16点
脚本:
18点
配役:
16点
映像:
15点
音響:
16点

2022年にノーベル賞作家カズオ・イシグロ脚本でリメイクされた黒澤明監督の代表作『生きる』。黒澤明ならではの映像の演出の秘密とは? 映画史に残るラストシーンはなぜ生まれた? 名曲「ゴンドラの唄」に込められたメッセージとは? 多角的な視点から名作を解き明かす。<あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー>

『生きる』あらすじ

黒澤明
黒澤明Getty Images

市役所で働く渡辺勘治(志村喬)は、若い頃とは打って変わり、仕事への熱情を完全に失っている。目の前に運ばれてくる書類にハンコを押すだけの張りのない日々を送っていた。

市役所で働く従業員たちは一様にやる気がなく、住民の切実な陳情は市役所や市議会の中でたらい回しにされるなど、不健全な体制がはびこっていた。

ある日、渡辺は体調に異変を察知し、病院に足を運ぶ。医師から胃潰瘍と告げられるも、実際には胃癌に罹っていることを悟る。残された時間はもう長くない。

それまで深く考えたこともなかった“死”を意識した渡辺は、これまでの人生を振り返っては、その無意味さに打ちひしがれる。

市役所を無断欠勤した渡辺は、貯金をすべておろし、目的もなく夜の街をさまようのだった…。

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