ウディ・アレンが魅せる大人の恋模様…オマージュを捧げた名作映画とは? 『サン・セバスチャンへ、ようこそ』考察&レビュー
text by 島晃一
前作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』から約3年半、ウディ・アレン監督の最新作映画『サン・セバスチャンへ、ようこそ』が現在公開中だ。ヨーロッパの名作オマージュや、映画祭サン・セバスチャンをリアルに再現するなど、映画好きに刺さる本作のレビューをお届けする。(文・島晃一)<あらすじ キャスト 考察 解説 評価>
ヨーロッパの名作映画へのオマージュ盛りだくさん
これまでアカデミー賞に24回ノミネートされ、『アニー・ホール』(1977)で監督賞と脚本賞、『ハンナとその姉妹』(1986)および『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)で脚本賞を受賞し、脚本賞にいたっては歴代最多ノミネート・最多受賞を誇るなど、映画界に多大なる功績を残してきたウディ・アレン。
80代になっても精力的に映画を撮り続けていたアレンだが、2017年にハーヴェイ・ワインスタインの性加害事件をきっかけとした#MeToo運動が盛り上がると、過去にアレンが訴えられた未成年の養女への性的虐待容疑も再び問題になった。
この件は既に証拠不十分で不起訴になっていたものの、当時公開を控えていた『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(2919)の俳優陣は、出演したことへの後悔を相次いで表明。製作のアマゾン・スタジオが、アメリカでの上映延期を決定した。映画は2019年にヨーロッパや日本で、2020年になってアメリカでも限定的な形で公開されている。