ウディ作品常連の脇役俳優への愛
主人公のモート・リフキンは以前大学で映画を教えていた老年の男性で、今は初の小説を書こうとしている。
しかし、傑作でないと無駄だと考えており、執筆は行き詰まっている。また、彼は、イングマール・ベルイマン、フェデリコ・フェリーニ、ジャン=リュック・ゴダールらの名作を崇拝しており、現代の映画を軽蔑する。
多くのアレン映画と同様、人生の意味や死といった実存的な問いに取り憑かれ、神経質かつ不安定で、アレン自身を投影したかのような役柄だ。なお、モート(Mort)はフランス語で死を意味する。
モートを演じるのは、ウォーレス・ショーンだ。ショーンはアレン監督『マンハッタン』(1979)で映画デビューを果たすと、その後も『ラジオ・デイズ』(1987)、『ウディ・アレンの影と霧』(1991)といった5作のアレン映画に出演。近年では、ノア・バームバック監督『マリッジ・ストーリー』(2019)なども記憶に残る。