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韓国で社会現象も…初公開時になぜ日本の観客は恐怖したのか? 映画『シュリ』徹底考察&解説レビュー

アジアのみならず世界を席巻している韓国コンテンツ。そんな韓国コンテンツを語る上で外せない作品が、1999年公開の映画『シュリ』だ。しかしこの作品、大人の事情から長らく「幻の作品」と言われ、この度ようやく4K再上映が実現した。そこで今回は、『シュリ』ど真ん中世代の筆者が魅力と衝撃をたっぷりと掘り下げる。(文・中川真知子)

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【著者プロフィール:中川真知子】

映画xテクノロジーライター。アメリカにて映画学を学んだのち、ハリウッドのキッズ向けパペットアニメーション制作スタジオにてインターンシップを経験。帰国後は字幕制作会社で字幕編集や、アニメーションスタジオで3D制作進行に従事し、オーストラリアのVFXスタジオ「Animal Logic」にてプロダクションアシスタントとして働く。2007年よりライターとして活動開始。「日経クロステック」にて連載「映画×TECH〜映画とテックの交差点〜」、「Japan In-depth」にて連載「中川真知子のシネマ進行」を持つ。「ギズモードジャパン」「リアルサウンド」などに映画関連記事を寄稿。

「幻の作品」と言われていたワケ

シュリ
©Samsung Entertainment

 今や当たり前になった韓国コンテンツ。だが、ほんの25年前までは、韓国がどんなコンテンツを作っているのかさえ知らない人が多かった。

 当時はハリウッド映画全盛期で、1993年に『ジュラシック・パーク』が公開されて以降、VFXを多用したハリウッドの大作が次から次へと公開されていた。ダイナミックでロマンティックな、まだ誰も見たこともない映像が量産されていたのだ。

 映画『シュリ』が日本に上陸したのは、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』や『アルマゲドン』、『マトリックス』『シックス・センス』といった、映画史を代表する作品が公開された1999年。世間が徐々にVFX疲れを感じ始めたときだった。

 血生臭さが漂う『シュリ』を見たときの衝撃は今でもはっきりと覚えている。そんな『シュリ』だが、権利関係が複雑で、再上映やストリーミング配信が叶わず、「幻の作品」と言われていた。だが今年、監督の尽力により、ようやく4K デジタルリマスター再上映が叶った。

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