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“史上最狂の承認欲求モンスター”の誕生

© Oslo Pictures / Garagefilm / Film I Väst 2022
© Oslo Pictures Garagefilm Film I Väst 2022

本作のタイトルである「シック・オブ・マイセルフ(私自身の病)」には、2つの意味が含まれている。ひとつは、違法薬物の大量摂取により彼女が患った病。そしてもう一つは、彼女が患っている「承認欲求の病」だ。

わかりやすいのは、トマスの個展の記念パーティーのシーンだろう。会場にやってきたシェフに、アレルギーの有無を尋ねられたシグネは、でまかせに自分がナッツアレルギーであることを伝える。

その後、トマスの皿の上の料理をつまみ食いしたシグネは、それを見ていたシェフから、トマスの皿の料理がナッツ入りであることを指摘される。その途端、彼女は体調が悪いフリをし続け、最終的にトマスのスピーチを邪魔して周りの注目を集める。

こういった彼女の承認欲求は、当初はお騒がせ程度のものだったが、違法薬物を手に入れてからは次第に取り返しがつかなくなっていく。副作用で顔に溝状の瘢痕ができて膨れ上がり、見るもおぞましい顔に変形していくのだ。まるで、彼女自身の内面の病がそのまま表出したかのように。

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