これまでのドラッグムービーとの比較
すぐに気づく方もいると思うが、この作品は薬物依存を題材としている。
自分は大丈夫だと思い、周りもやっているからと自分もやってしまうが、その一回で人生が台無しになるのだ。
今までにも『トレインスポッティング』や『時計じかけのオレンジ』、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』など、薬物を題材とした映画はあったが、どれもルーツや文化の背景があり、ハイセンスでモードなファッションとも相まって、ドラッグ=かっこいいものとも捉えることができる作品だ。
しかし今作は、観ている我々もハイになってしまうような構成になっており、薬がどれほど怖いものなのかを知ることができる。
パーティのシーンはもちろん、映画を通してアップテンポの曲が使用され、ミアが1人で寂しさを感じている鬱なシーンを交互に構成することで、我々もミアと共に大きな感情の起伏を感じることができる。
母親が亡くなり、ほとんど会話をしない父親との生活が上手くいっていないミアは、感情の捌け口が分からなかったのだろうと筆者は考える。家と学校が世界のすべてと思っている10代の学生というところが、また共感を生んでいる。
一時的にはハイテンションになるが、その効果が切れた途端、急に世界に一人になった気がするのだ。
憑依をするために「手」を握るというアイデアも、SNSが普及している近年に人との繋がりが薄れていることへ言及しているようにも見れる。