現代の若者にとって目の前のことよりも大事なもの
降霊を楽しんでいるが、憑依する前の痙攣の時、またミアが怖がっている時を思い出してほしい。周りを囲む仲間たちは、やったことがない人を除いて誰一人として止めるものはおらず、ましてや心配する人物もいなかった。
そしてSNSにアップするであろう写真や動画のフラッシュの光に、また混乱してく。
企画を立てた監督は公式インタビューで、ドラッグ服用後に床で痙攣した人を仲間たちは笑いながらムービーを撮っていたという、近所で見た子どもたちのエピソードから今作の着想を得たと説明し、とても衝撃を受け同時に恐怖を感じた語っている。
日本では違法薬物の取り締まりが厳しいため、今作などドラッグ題材は身近に感じないかもしれない。しかし、ミアのように悩みや自分の気持ちを隠しながら知らないうちに心が悲鳴をあげている人もいることは確かだ。
今作はドラッグを服用することで生じる、不安定な感情と恐ろしい幻覚を体感しているような超感覚ホラーとなっているため少々注意が必要かもしれないが、是非そのスリルと高揚感を劇場で味わってほしい。
また、その底なしの沼にハマっていく感覚をミアと共に味わうことで、自分の感情を人に伝えるということがどれだけ大切なことかを改めて感じ、注意喚起としての作品とも言えるだろう。
(文・タナカシカ)
【作品情報】
監督:ダニー&マイケル・フィリッポウ
出演:ソフィー・ワイルド、アレクサンドラ・ジェンセン、ジョー・バード
原題:Talk to Me
95分|オーストラリア|カラー|シネスコ|5.1chデジタル|字幕翻訳:風間綾平|PG12
© 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia
配給:ギャガ
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