スピルバーグ版との決定的な違いとは? リメイク版の改変点に注目。映画『カラーパープル』考察&評価。忖度なしガチレビュー
text by 野原まりこ
現在絶賛上映中の映画『カラーパープル』は、黒人女性があらゆる困難を乗り越え、自由を手にする物語だ。1985年にスティーブン・スピルバーグによって映画化された不朽の名作が、ミュージカル映画として蘇る。話題作のガチレビューをお届けする!(文・野原まりこ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
不朽の名作が蘇る
38年前にスティーブン・スピルバーグが映画化し、主人公のセリーを『天使にラブ・ソングを…』のウーピー・ゴールドバーグが演じた不朽の名作『カラーパープル』が、ミュージカル映画として蘇った。
原作は、1982年に発表されたアフリカ系アメリカ人の作家であるアリス・ウォーカーによる、ピューリッツァー賞を受賞した同名小説。ブロードウェイでもミュージカル化され、長年に渡り世界各国で愛されている作品だ。
今回製作されたリメイク版のキャストは、ミュージカル版でも活躍するファンテイジア・バリーノ(セリー役)とダニエル・ブルックス(ソフィア役)が出演しており、2人は舞台に引き続き、同役を演じている。
本作はスピルバーグ版、舞台版を経て、陽気さを加えた現代風なアレンジが施されている。人種差別や男尊女卑のもとで生きる主人公セリーが自分の人生を見つけていく様子を、ミュージカル形式で描いているのだ。
タイトルの「カラーパープル」とは「紫色」を指している。
赤や青、白、黄色と様々な色の花が咲いている中、紫色の花も自然の中に存在している。よく見ないと気づけない紫色の花は、人生の中にもある。少し意識を変えるだけで、人生を豊かにするものが見えてくるかもしれない…という意味が込められている。