自由を求めて羽ばたくセリー
まずは作品のあらすじから見ていこう。
アメリカの南部に位置するジョージア州の田舎街。セリー(ファンテイジア・バリーノ)とネティー(ハリー・ベイリー)の姉妹は厳格な父のもとで暮らしていた。
セリーはブサイクで取り柄がない一方、ネティーは頭が良くて容姿も良い。対照的な姉妹であったが、2人の心は強い絆で繋がっていた。
セリーは10代で望まぬ妊娠をさせられた上に、産まれた子供は有無を言わさず里子に出され、父にこき使われていた。その後、父の知り合いであるミスター(コールマン・ドミンゴ)との結婚を強いられ、そこでも家事や育児を押し付けられるのであった。
セリーがミスターのもとで暮らしていたある日、ネティーが父に手を出され、セリーの元へ逃げてくる。また2人一緒に暮らせることに喜ぶ姉妹であったが、あろうことかミスターは妻の妹であるネティーに迫ろうとする。誘いを拒否したネティーは、激昂したミスターに追い出され、それっきり姉妹は生き別れとなってしまうのであった…。
唯一の心の拠り所を失ったセリーは、ミスターの理不尽な暴力に耐えながら、ただ生きているだけの日々を過ごす。そんなある日、ミスターの息子であるハーポ(コーリー・ホーキンズ)の恋人のソフィア(ダニエル・ブルックス)が訪ねてくる。
ソフィアは気が強く、ミスターにも食ってかかるほど強気な女性で、セリーは衝撃を受ける。ハーポとソフィアは沼地に家を建て、愛し合っていたが、暴力で無理やり従わせようとするハーポに嫌気がさしたソフィアは彼のもとを去る。
沼地の家はハーポが音楽酒場を営業することになり、そこに歌手のシュグ(タラジ・P・ヘンソン)が招かれる。シュグは色っぽい女性で、町中の男たちを虜にしてしまうため、女たちからは敵視されていた。
ミスターの愛人でもあるシュグは、セリーがいるにもかかわらず、家に上がり込んでは女王のように振舞う。あのミスターでさえも彼女に朝食を作り、機嫌を取ることに務める。
シュグに対しては、セリーへの横暴な態度と正反対の溺愛ぶりをみせるミスター。とはいえ、セリーはもともと彼が好きで結婚したわけではないため、シュグに対して、嫉妬とは異なる感情を持つ。
一方のシュグも、献身的に自分のお世話をするセリーに次第に心を開き、2人は徐々に心を通わせていく。