ホーム » 投稿 » 海外映画 » 劇場公開作品 » 意外な展開に引き込まれる…オーメンシリーズは何が特別なのか? 映画『オーメン・ザ・ファースト』徹底考察&評価レビュー » Page 5

オカルトホラー一辺倒ではない、ユニークな陰謀論映画

© 2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.
© 2024 20th Century Studios All Rights Reserved

映画『オーメン・ザ・ファースト』は物語前半では旧来のオーメンシリーズと同様に、“前兆”を描くひたひたとした恐怖の物語が展開されるが、物語の後半では“畏れ”を人々の心に宿すために“666という呪われた数字のあざを持つ子供”を巡る教会側の急進的な一派による陰謀が展開される。

あまり言うとネタバレに繋がってしまうが、その陰謀とは聖書に書かれている地獄の物語などの恐怖譚だけでは、もはや人々の信仰を繋ぎ留められないと感じた一派が、意図的に(=人工的に)恐怖を創り出し、そのことで人々の信仰心を取り戻そうというもの。この設定はいささか突飛ながら、本作をオカルトホラー一辺倒ではない、ユニークな陰謀論映画にしている。

これにネル・タイガー・フリー演じるヒロイン・マーガレットが陰謀の謎解きを進めるという、宗教的な知識や下地がなくても楽しめるサスペンスフルな展開が続く。

その上で宗教的というよりかは“より生理的”に恐怖心、不安感を高めるストレートなショックシーンを織り交ぜることで、日本人(=非キリスト教文化圏の人)であっても分かりやすくなっている。

“666という呪われた数字のあざを持つ子供”=ダミアンについて予備知識のない、本作で初めて『オーメン』シリーズに触れる人や悪魔という存在に恐怖心を抱けないでいる人たちにとっても『オーメン・ザ・ファースト』は楽しめる良質なホラーである。

敢えてこの『オーメン・ザ・ファースト』に関して難点を上げるとするならば、あまりにも第1作目の『オーメン』にダイレクトに繋げてしまったために今後のフランチャイズの展開が難しくなったことぐらいだろう。

(文:村松健太郎)

【作品概要】

タイトル:『オーメン:ザ・ファースト』
原題:The First Omen
監督:アルカシャ・スティーブンソン「Channel ZERO:ブッチャーズ・ブロック」
製作総指揮/脚本:ティム・スミス『シン・シティ 復讐の女神』、『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』
プロデューサー:デビット・S・ゴイヤー
出演:ネル・タイガー・フリー/ビル・ナイ/ソニア・ブラガ/ラルフ・アイネソン
全米公開:2024年4月5日
4月5日(金)全国劇場にて公開
© 2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

1 2 3 4 5 6
error: Content is protected !!