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原作との重要な違いとは? 映画『ザ・ウォッチャーズ』考察レビュー。イシャナ・ナイト・シャマランの初長編を読み解く【前編】

text by 冨塚亮平

M・ナイト・シャマランの娘であるイシャナ・ナイト・シャマランによる長編初監督作品『ザ・ウォッチャーズ』のレビューを全3編でお届けする。原作は作家A・Mシャインによる同名ホラー小説。前編では、原作との比較、父の過去作との類比によって、本作の魅力を紐解く。(文・冨塚亮平)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

※原作「The Watchers」からの引用部分は、括弧内にページ数を明記する。
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【著者プロフィール:冨塚亮平】

 アメリカ文学/文化研究。神奈川大学外国語学部准教授。ユリイカ、キネマ旬報、図書新聞、新潮、精神看護、ジャーロ、フィルカル、三田評論、「ケリー・ライカートの映画たち漂流のアメリカ」プログラムなどに寄稿。近著に共編著『ドライブ・マイ・カー』論』(慶應大学出版会)、共著『アメリカ文学と大統領 文学史と文化史』(南雲堂)、『ダルデンヌ兄弟 社会をまなざす映画作家』(neoneo 編集室)。

正体不明の怪物たちに監視される住人に課せられた三つのルール

©2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
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 アメリカから移住し今はアイルランドのゴールウェイで暮らす、絵を描くことを愛する28歳のミナ(ダコタ・ファニング)は、ある日勤務先のペットショップの上司から、客の元にインコを届けるよう頼まれる。翌日車にインコを乗せて西部の鬱蒼と茂る森へと向かったミナは、目的地に着く前に迷ってしまう。

 どういうわけかスマートフォンやカーナビも動かなくなり、困った彼女は助けを求めるためインコを連れて車外に出て歩き出す。手がかりもなく途方に暮れた彼女がしばらくして振り返ると、なぜか自らが乗ってきた車は跡形もなく消滅していた。暗さを増した森に不気味な気配が漂うなか、ふと彼女の眼前に突如ガラス張りの建物が現れる。

 ドアの前にいた女性の「走れ!」と叫ぶ声に従ってなんとか室内に駆け込むと、そこにはすでにミナに向かって叫んだリーダー格の女性マデリン(オルウェン・フルエ)に加えて、夫が数日前に出て行ったという女性キアラ(ジョージナ・キャンベル)、若い男性のダニエル(オリバー・フィネガン)の二人もいた。

 状況が飲み込めないミナに対してマデリンは、「鳥かご(the coop)」と呼ばれるこの部屋は毎晩正体不明の怪物たち(=ウォッチャーズ)に監視されていること、そして、部屋の住人には守らなければならない三つのルールがあることを告げる。

1.マジックミラーに背を向けてはいけない。
2.決してドアを開けてはいけない。
3.常に光の中にいろ。

 すっかり規則に慣れた様子の三人は、自分たちと同じように壁一面を占めるマジックミラーに向かって立ち、ウォッチャーズに自分の姿をよく見せるようミナに要求する。鏡の向こう側に集まるウォッチャーズの恐ろしい気配を感じながら一夜を過ごしたのち、翌日ミナは鳥かごからの脱出を試みるが・・・。

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