「ジョー・ペシのセリフは脚本になかった」マーティン・スコセッシ監督、映画『グッド フェローズ』の撮影裏話を披露
犯罪伝記映画『グッドフェローズ』(1990)は、アメリカのギャングスターである“ヘンリー・ヒル”の日常を描いた、マーティン・スコセッシ監督の代表作の一本だ。この度、スコセッシは、本作に登場する伝説のシーンが、脚本に書かれてない、即興で制作したシーンだったと明かした。現地のメディアを参考に内容を紹介していく。
映画史上に残るギャング映画の名作
あの有名シーンはシナリオに書かれていなかった!?
俳優レイ・リオッタ、ロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシが出演する犯罪伝記映画『グッドフェローズ』(1990)は、アメリカのギャングスターである“ヘンリー・ヒル”との日常を描いた物語。
この映画は、アカデミー賞6部門にノミネートされ、映画『カジノ』(1995)や『アイリッシュマン』(2019)など、スコセッシ監督の他のギャング映画作品の中でも特に優れた作品と言われており、今なお多大な人気を誇る映画となっている。
カナダニュースサイトScreen Rantによると、最も印象的なシーンである俳優ジョーペシ演じるトミーがレストランにて「How am I funny? (俺のどこがそんなに面白いんだ?)」と発言するシーンが、元々は脚本に存在しなかった、米Deadlineの取材にてスコセッシ監督が回答したという。
このシーンは、ジョー・ペシ演じるトミーが、レストランにて皆を笑わせるような面白い話をしたことで、レイ・リオッタ演じるヒルがトミーを面白い奴だと褒める。しかし、トミーはそれを褒め言葉としてではなく、軽蔑と取り、ユーモラスな雰囲気は徐々に緊張感のある危険なトーンに変化していく。
リオッタは以前に、ペシのこのアイデアは、彼の個人的な体験から生まれたシーンであると明かしている。若き日のペシがレストランで働いていた頃、ある組織犯罪と密接な関係を持つ男に対し“面白い”と発言したところ、トミーと同じように「How am I funny? (俺のどこがそんなに面白いんだ?)」と返されたことが元ネタとなっているという。
また、映画『グッドフェローズ』の撮影はオープンで、俳優達のアイデアを積極的に取り入れる協力的な進行プロセスだったため、ペシはスコセッシ監督に上記のアドリブを提案することができたという。
スコセッシは「自然発生的な場面が多くありました。ジョー・ペシがこのシーンをやりたいんだけど…と言い、“とにかくやってみて”という感じだった。それを実際にリハーサルでやってみたんだ」
「ペシは“何かが起こった”と言って、僕は“教えてくれ”と言ったんだ。彼は“ここでは言えない”と言うんだ。それで私は“じゃあ私の家に行こう”と言った。彼は“じゃあやってみるよ”と言い、実際にその演技を行い、脚本に書くことさえもしなかったんだ」と語った。
『グッドフェローズ』はアカデミー賞では6部門にノミネートされ、ペシは助演男優賞にノミネート。映画『グッドフェローズ』が、公開から30年以上経った現在でも、名作として生き続ける背景には、ペシの多大な貢献があることを思い知らせてくれるエピソードだ。
【関連記事】
映画「ゴッドファーザー」史上最高級の傑作、何が素晴らしいのか<あらすじ 考察 解説 評価 レビュー>
映画「タクシードライバー」ラストシーンは主人公の妄想!? 孤独なテロリストを描いた問題作<あらすじ 考察 解説 評価>
映画『セブン』ラストの箱の中身は? 史上屈指の胸糞映画を徹底考察。グロいけど奥深い名作<あらすじ 考察 評価 レビュー>