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近年を代表するSF映画『インターステラー』。謎に満ちた結末を考察。エンディングシーンは一体何を意味している?

text by 編集部

クリストファー・ノーラン監督の映画『インターステラー』は、近年を代表する空想科学映画の名作だ。目利きのSFファンから賞賛を集める一方、その内容は壮大であり、万人ウケするとは言い難い難解な作品でもある。今回はそんな『インターステラー』のエンディングが一体何を意味しているのか、現地のメディアを参考にその内容を確認していく。

『インターステラー』のラストシーンに込められたメッセージとは?

マシューマコノヒーとアンハサウェイGetty Images

この映画は、異常気象とそれに伴う食糧難により、滅亡の危機に瀕している地球のディストピア的な未来を舞台にした作品だ。

主人公は元NASAのパイロットであるクーパー(マシュー・マコノヒー)。人類の新しい故郷となりうる場所を求め、土星付近に発生したワームホール(ワープゾーン)を通り抜け、別の銀河系へと有人惑星間航行(インター・ステラー)する姿が描かれている。

迫力満点な視覚効果だけでなく、ストーリーには宇宙に関する科学的知見や、天体物理学の理論的な仕事が参照されており、一部ではスタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』をも上回る、「史上最高のSF映画」であるという評価を受けている。

一方で、映画『インターステラー』は同時に多くの混乱も生み、ファンの間では、この映画のエンディングが一体何を意味するのか、多くの議論が交わされている。今回は米colliderの内容を参考に、この映画のエンディングの意味を解説していく。

本作に登場する宇宙探査船エンデュランス号は、地球に帰還するのに十分な燃料を保持していない。途中エンデュランス号は壊れるが、人類を絶滅から救うため、クーパーは人工知能ロボットの仲間TARSと共に、自分の船を母船とドッキングさせることで、機能を復旧させることに成功する。

しかし、それでも地球への生還は困難と判断したクーパーは、自らを犠牲に、同僚・アメリア(アン・ハサウェイ)を3つ目の惑星へ届けようと考える。

その後ブラックホールに流れ込んだクーパーは、未知の5次元世界「テセラクト」に入り込む。この空間は、娘マーフィーの部屋の本棚を物理的に表現した空間で、5次元から彼女とのコミュニケーションを試みる。

クーパーは娘マーフィーに重要な情報を伝え、マーフィーは人類絶滅の危機から救う。「テセラクト」から放出されたクーパーは「クーパー・ステーション」という大規模スペースコロニーでその目を覚ますと、彼が地球から去ってから実に90年もの歳月が経過していることが判明する。その後、クーパーは年老いた娘マーフィーと再会を果たす。

作中で、視覚的にも科学的にも、最も優れていると言えるのは5次元世界「テセラクト」のシーンではないだろうか。米Gizmodoは、この5次元的解釈は、ブラックホールに人が実際に入った時に起こり得ることを、科学的に表現しているだけではないと述べている。

「テセラクト」の発明者は「彼ら」と呼ばれている。後にその正体は、4次元の法則から切り離された、5次元の世界に生きる人類の子孫であることが明らかにされる。

クーパーは地球外生命体の手によりこの「テセラクト」に入ったように見えるかもしれないが、実際には未来にいる人類が本棚を通しモールス信号で、娘のマーフィーに重要な情報を伝達し、人類の未来を救出するため、クーパーをこの空間に送り込んだのだ。

映画冒頭クーパーは「テセラクト」を通し、その日の砂嵐による砂の形状からNASAの秘密基地の座標を特定する。もしこの現象が起こらなければ、クーパーはNASAへの行き方を知ることもできず、ミッションに参加することができなかっただろう。

そもそも5次元の未来人が「テセラクト」を発明しなかったら、クーパーはマーフィーにメッセージを送ることはできず、人類救出は叶わなかったに違いない。

本作は、空間と時間、そして5次元世界を探求するだけではなく、より現実的なメッセージも発している。気候変動は現実的な問題でもあり、このままでは地球に絶望的な未来をもたらす危険性があると警鐘を鳴らしているのだ。

さらに、核となる要素が「愛」だ。本作は正確な科学的描写を誇る一方、「愛」という抽象的な概念が映画に味わい深さをもたらしている。

父の娘への愛、娘の父への愛が、人類を救う鍵になる。次元を隔てて離れても互いに向ける愛が2人を救う。愛は時間を超えて波及効果をもたらし、歴史の流れを変えることができたのだ。

映画の序盤、女優アン・ハサウェイ演じるブラント教授が言及する「愛は人間が発明したものではない。愛だけが次元や時間、空間を超える手助けをしてくれる。だから愛を信頼しなくてはいけない」という言葉は、映画中で文字通りに表現されていることがわかる。

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