映画「インセプション」をあらすじ（ネタバレあり）、演出、脚本、配役、映像、音楽の項目で徹底解説。クリストファー・ノーラン監督、レオナルド・ディカプリオ主演、日本人キャストとして渡辺謙が出演。構想に20年かけた本作は、つまらない？ それとも面白い？ 真の評価を多角的な視点で明らかにする。

映画『インセプション』のあらすじ

時は近未来。経営者の夢の中に侵入しアイデアを盗み取る「エクストラクション」という名の犯罪が流行している。産業スパイのコブ（レオナルド・ディカプリオ）は、相棒のアーサー（ジョセフ・ゴードン＝レヴィット）と共に、日本人実業家サイトー（渡辺謙）の夢の中に入り込み、機密情報を盗み出そうとする。

コブの計画は失敗するが、サイトーに腕を見込まれ、仕事のオファーを受ける。サイトーの計画はライバル社のトップ・モーリス・フィッシャー（ピート・ポスルスウェイト）の息子である、ロバート・フィッシャー（キリアン・マーフィー）の夢に潜入すること。

夢を通じてロバートに偽のメッセージを吹き込むことで、ライバル会社を倒産に導こうという魂胆だ。そのためには、夢の中からアイデアを盗み出す「エクストラクション」ではなく、標的の夢に侵入し、偽の情報を植え付ける「インセプション」という技術が必要となる。「インセプション」の成功例は少なく、失敗したときのリスクも大きい。

アーサーはサイトーの依頼を断ろうとするが、コブはアーサーを説得し、ミッションを引き受ける。コブはミッションが成功した場合、過去の犯罪履歴を抹消してもらえることになった。コブにはアメリカで暮らす娘と息子がいる。犯罪履歴が消えれば、警察の捜査網をすり抜けて、家族に会うことができるのだ。

不安を口にするアーサーに対し、コブはかつて一度だけ「インセプション」を試みたことがあると語る。

ロバートの心の中に侵入し、偽のメッセージを刷り込むためには、複雑な層を持つ夢を設計する必要がある。コブとアーサーはパリに飛び、亡くなった妻の父であり大学教授を務めるマイルス（マイケル・ケイン）の紹介で、天才「設計師」のアリアドネ（エレン・ペイジ）と出会う。

コブはアリアドネと協力し、ロバートに植え付ける夢の世界を作り込むのだった。また、コブは仲間集めにも奔走。弁舌に優れた「偽造師」・イームス（トム・ハーディ）、夢を安定させる薬を製造する「調合師」・ユスフ（ディリープ・ラオ）が仲間に加わる。また、実行メンバーにはサイトーも加わることになった。

ミッション成功の鍵を握る夢の設計が完了した。時を同じくして、モーリス・フィッシャー死去のニュースが飛び込んでくる。ロバートは父の葬儀に出席するため、旅客機に搭乗。コブ一味は飛行機に忍び込み、薬を使ってロバートを眠らせることに成功する。ロバートをユスフの夢の中に誘導し、コブ、サイトー、アーサー、アリアドネ、イームスも次々と夢の中に入り込んでいく。